台風の塩害についてわかりやすく解説をします。昨年の台風24号は雨風だけでなく、台風による塩害は強風により巻き上げられた海水が、雨水と共に降り注ぐことで発生する塩害被害が確認されました。台風塩害による被害はどのようなものがあり、なぜ塩害は起きるのか解説していきます。
台風塩害とは、台風により海水が巻き上げられ、陸地の内部へ運ばれることにより
「塩」が様々な場所や物に付着することで起こる被害をいいます。
台風塩害で火災になる
実際に起きた事故です。
昨年21018年の台風24号で、この塩害被害が注目されましたね。
台風24号が最接近し、京成線の船橋競馬場駅(千葉県船橋市)で、駅構内の送電線
から突然、発火し停電となった。
京成高砂駅(東京都葛飾区)ー京成八千代台駅間(千葉県八千代市)で運行がストップ
となり、約7万2千人の足に影響したというものです。
台風塩害による火災発生のわけ
上図でみてください。
①台風の強風で塩分を含んだ風を運んできます。
②絶縁体の碍子に雨や湿気で塩分が継続的に付着していき乾燥します。
③塩分が付着したことにより電気が流れやすくなった絶縁体の碍子は、
電線と電線の間でショート(電気が流れる)が起きます。
電線の被膜が経時で劣化しひび割れが原因で、塩水が入り込む。
※台風が強風で塩分(海水)を運び込む⇒塩分は電気を通し安い
台風24号は、記録的な暴風を伴い、関東地方を通過しました。
その3日近く経過した後に、この火災が発生しました。
火災が発生した京成船橋競馬場駅は、東京湾から約2キロ、
内陸に入った沿岸部にあります。
原因は、台風の強風により電線に吹き付けられた海水で電気が流れやすくなり
ショートしたとみています。
また、千葉県内の別の場所、JR外房線や東武野田線、御宿町でも同様に、送電設備から
火花がでていたのを地元住民や運転手が発見しました。
鉄道各社によると、海水が原因でショートが起きるメカニズムは知られているが
火災まで至るというのは珍しいということです。
台風塩害は植物や野菜にも
台風の巻き上げる海水が強風により、植物や野菜の葉っぱに付着することで
枯れてしまうという塩害も発生しています。
塩が葉っぱに付着すると、なめくじに塩をかけると縮んでしまいます。それは、塩に体内の水分が取られてしまうから。これと同様のことが「葉っぱ」にも起きます。
葉っぱが塩により水分を取られてしまうので枯れる。ということになります。
台風塩害は建物にも
セメントの中に鉄骨が入っているいわゆる鉄筋コンクリートは、ヒビワレなどがあると
そこから塩分が入りこみ錆びてしまいます。
「錆びる」というのは、酸化するということです。
難しい言葉ですが、酸化するというのは、「電子」が無くなるからです。
鉄に塩水が付着すると、鉄の「電子」が鉄から塩水の中に入ります。鉄の電子が無くなります。そうすると鉄はプラスに荷電し、塩水の中に入った電子は、その塩水の中の酸素と結合します。
プラスに荷電した鉄とマイナスに荷電した酸素が一緒になり「酸化鉄」になって、これが錆びるという現象です。
台風塩害をわかりやすく解説します!台風通過後電線火災の恐怖?のまとめ
「台風塩害」を昨年の台風24号をもとにわかりやすく解説しました。
ポイントは、海水の塩
電線などには、電気が流れないように「絶縁体」というもので、電気の
交通整理をしています。ショートしないように!
しかし、「塩」は、この絶縁体をもろともせずに、電気を流して(ショート=火花)しまいま
す。電気の流れは、目に見えないのでとても厄介ですね。
2019年9月9(月)台風15号が関東地方を通過しました。
記録的な暴風雨により、電柱や電線に吹き付けられた海水が乾燥し
火花が出たり、場合によっては火災の可能性もある「台風塩害」
が、今後、発生する恐れがあります。
もし、そのような火花とか、異常を感じた時は、絶対に近寄らないで
すぐに電力会社に連絡をしてください。
コメント